
ヨルダンの南端に位置するアカバの海は、世界中のダイバーを惹きつける魅惑のポイントが無数に点在しています。その中でも、規格外のスケールで圧倒的な存在感を放つのが、海底に丸ごと沈められた巨大旅客機「Tristar (L-1011)」と、ダイナミックな絶壁が続く「Power Station」です。
人工物と大自然という全く異なる顔を持つこの2つのポイントは、中級者以上のダイバーにとってアカバ遠征のハイライトとなるでしょう。本記事では、31カ国を旅した筆者が実際に潜って感じた現地のリアルな体験談をもとに、攻略のポイントや注意点を詳細に解説します。
アカバダイビングの全体像を把握する
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ヨルダン・アカバの海へ!紅海ダイビング完全ガイド
理由:アカバの基本情報や他のポイントとの位置関係を知ることで、旅のスケジュールが立てやすくなります。
Tristar (L-1011):海底に眠る巨大旅客機を探索 MAP
アカバのダイビング最大の特徴は、ヨルダン王室主導で沈められた大規模な人工レック(沈船・航空機・戦車など)の存在です。その中でも「Tristar(トライスター)」は、かつて実際に空を飛んでいた民間旅客機を丸ごと沈めたという、他国では類を見ないスケールを誇ります。
水中のロケーションと機内へのペネトレーション
ボートからエントリーし、透明度抜群の青い海を潜降していくと、やがて白い巨大な機体が眼下に姿を現します。両翼を広げたまま海底に横たわる姿は、まるで映画のワンシーンのようです。水深は約15mから始まり、尾翼付近は28mほどの深さになります。

このポイントの醍醐味は、なんといっても機内へのペネトレーション(進入)です。乗降用のドアは取り外されており、そこからキャビンへと入ります。内部の座席は環境への配慮と安全確保のために大半が撤去されており、ガランとした巨大なトンネルのような空間が広がっています。
客室の小さな丸い窓から、強烈な太陽光が青いレーザービームのように差し込む光景は息を呑むほどの美しさです。トイレの便座やギャレー(厨房設備)の跡など、かつての旅客機としての名残を随所に発見できるのも、このポイントならではの面白さです。
コックピットでの記念撮影は必見
機内を前方へと進むと、いよいよコックピットに到達します。複雑な計器類やスイッチ、操縦桿が当時のまま残されており、航空ファンならずとも興奮を抑えきれません。操縦席の空間にダイバーが入り込み、パイロット気取りで記念撮影をするのが定番のルートとなっています。ただし空間が狭いため、フィンで計器を蹴らないよう細心の注意が必要です。
巨大な機内とはいえ、閉鎖環境であることに変わりはありません。以下の点に特に注意してください。
- 中性浮力の徹底: 床には細かい沈殿物が堆積しています。フィンで砂を巻き上げると一瞬で視界(透明度)がゼロになる「シルアウト」を引き起こし、非常に危険です。常に底から少し浮いた状態を維持する完璧な中性浮力が求められます。
- 閉所恐怖症の方は注意: 途中で水面へ直接浮上できない空間が続きます。不安を感じる場合は、無理に内部へ入らず外観を楽しむだけでも十分な価値があります。
- 暗闇対策: 機内の奥は暗いため、小型の水中ライトを持参すると探索の面白さが倍増します。
Power Station:紅海のダイナミックなドロップオフ MAP
人工物のレックダイビングが続くアカバにおいて、「大自然の凄み」を真っ向から感じられるのがPower Stationです。サンゴ礁の浅瀬から少し沖へ進むと、突如として海底が消え去り、底が見えない深い青の深淵が現れます。
絶壁を滑空する圧倒的な浮遊感
このポイントの魅力は、なんといってもそのダイナミックな地形が生み出す浮遊感です。切り立った崖の壁面に沿って泳いでいると、まるで空を飛んでいるかのような錯覚に陥ります。壁面には巨大なウミウチワ(ゴルゴニアン)や色鮮やかなソフトコーラルが密集して群生しており、アカバの海の豊かさを実感できます。

また、潮通しが良いため大型の海洋生物が集まりやすいのも特徴です。悠々と泳ぐウミガメや、ダイバーに慣れているのか近づいてくる巨大なナポレオンフィッシュに遭遇する確率が高く、運が良ければマダラトビエイなどが姿を見せることもあります。
Power Stationは非常に魅力的なポイントですが、初心者には難易度が高く、確実な自己管理能力が求められます。
- 無意識の深度低下(オーバーディープ)に警戒: 底が見えないため、視覚的な目安が失われます。壁の美しいサンゴや大物に気を取られていると、気づかぬうちに水深30m、40mと落ちてしまう危険性があります。ダイブコンピューターの水深計を頻繁に確認してください。
- 残圧の管理: 深く潜れば潜るほど、空気の消費量は劇的に早くなります。また減圧不要限界(NDL)にもすぐに達してしまうため、ガイドの指示を待つのではなく、自らの残圧とNDLをこまめにチェックする自己責任が不可欠です。
日本人ダイバーがアカバで潜る際の心構えと準備
アカバのダイビングショップの多くは、非常にフレンドリーでホスピタリティに溢れています。しかし、日本のように「手取り足取りすべて世話をしてくれる」わけではありません。機材のセッティングやバディチェックは自分たちで行うのが基本スタイルです。

ボート上でのブリーフィング(事前説明)は英語で行われます。言葉の壁がある場合でも、ホワイトボードに描かれた「最大水深(Max Depth)」「潜水時間(Dive Time)」「見どころのルート」「安全停止の指示」の4点は必ず理解してから海に入りましょう。不安な点があれば、ジェスチャーを交えてでも潜る前にガイドに確認することが、見知らぬ海域での最大の防衛策です。
安心して潜れる現地ショップを探す
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ダイビングショップ/Aqaba Moon Diving Center
理由:筆者が実際に利用し、機材のメンテナンス状態やガイドの質を確認した信頼できるショップのレビューです。
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理由:現地でのダイビングショップとの連絡や、ボート乗り場までのマップ確認など、スムーズな旅には安定した通信環境が不可欠です。
人気ポイントへのボートツアーは定員が限られます。現地での混雑や手配トラブルを防ぐため、事前のオンライン予約をおすすめします。
- Q. Tristar (L-1011)を潜るのに必要なライセンスのランクは?
- A. 機体の最深部が28mに達するため、アドバンスド・オープン・ウォーター(AOW)以上のCカード保持が推奨されます。オープンウォーター(OW)の場合は、機体の上部(浅い部分)のみの案内となることが多いです。
- Q. アカバの海にサメはいますか?
- A. Power Stationのようなドロップオフや沖合のポイントでは、ごく稀にリーフシャークなどを見かけることがありますが、ダイバーを襲うような危険なサメの報告はほとんどありません。


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